山形県はこのほど、県オリジナル水稲新品種「山形142号」を発表、名称募集を開始した(2月5日付)。高温耐性、反収、食味が、同じく県オリジナル品種である「はえぬき」を上回るのが特徴。令和9年産デビューをめざす。
「山形142号」は、県農業総合研究センター水田農業試験場が「山形112号」(雪若丸)と早生系の「山形122号」を交配した中生の主食うるち。平成24年(2012)育成開始、平成30年(2018)に種子配布を開始している。
「はえぬき」に比べ、草丈が長く、出穂期や成熟期はほぼ同じ(中生の晩)だが、粒が大きく、反収も1割ほど多い。また粒の白度が高く、食味評価も「はえぬき」を上回る。
高温耐性は、9段階の上から4番目「やや強」で、同じく県オリジナル品種である「つや姫」や「雪若丸」並み。「中」の「はえぬき」より暑さに強い。猛暑によって全国的に歩留まりが低下した令和5年産で、「つや姫」や「雪若丸」は高い歩留まりを維持したが、県の作付シェア6割を占める「はえぬき」は大きな打撃を受けた。このため生産現場から、高温耐性品種が求められていた。
県では新品種の位置づけを、「つや姫」や「雪若丸」のような高級ブランドではなく、「はえぬき」のような業務用向けを想定。反収の高さが生産コスト抑制にも繋がることから、輸出用米としての利用も見込んでいるものの、「市場から受け容れられるかどうかは未知数。棲み分けや『はえぬき』からの切り替えも含め、今年度検討を進める」(県農林水産部)としている。
ただ、ブランド化のため「つや姫」や「雪若丸」で設けた生産者認定制度は、現段階で想定していない。同じ県オリジナル品種でも、「はえぬき」のように、幅広く生産できる方向だ。
また名称募集は、全国公募した「つや姫」や「雪若丸」と異なり、今回は県内の小中学生を対象とした(限定ではない)。今年1月27日付で県の認定品種に指定しており、名称募集の締切は2月28日。3月中に名称を決定し、4月にも公表する運び。ただし山形県ではこれまで、県オリジナル品種の名称募集を行う際、「はえぬき」・「どまんなか」、「つや姫」、「雪若丸」いずれも、あらかじめ最終候補が内定していることが通例だった。
応募は、氏名、(県内の)市町村、年齢、学校名(学生の場合)、名称と読み方(ひらがな)、その名称を付けた理由(名称に込めた思い)を明記の上、以下に申し込む。
○ 郵 送=〒990-8570 山形市松波2-8-1 山形県農林水産部農業技術環境課 作物振興担当
○ FAX=023-630-2456
○ ネット=「やまがたe申請」
県独自水稲新品種「山形142号」、名称募集を開始
