8月の「カレーライス物価」が3か月連続で下落した。
帝国データバンクが10月10日に公表した今年8月の「カレーライス物価」は1食436円(前月比▲2円)となった。「銘柄米を中心に米価が安定し始めたことが要因」としている。前年同月比プラス記録は27か月連続に延ばしたものの、+88円(+25.3%)と、2か月連続で上昇幅が100円を下回った。また9月の予測では1食431円となることから、「今秋まで430円台前後での推移が予想される」「急激な値上がり局面はいったんピークを越えたとみられる」としている。

「カレーライス物価」は、総務省の小売物価統計調査結果から、カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)にまとめた「カレーライス1食あたりのトータルコスト」を示すもの。内訳として「カレー具材(肉・野菜)」213円(前月比+3円)は、3か月ぶりに上昇したものの、「急激な上昇ペースは一服した」とみる。「ごはん(ライス)」192円(▲4円)は、19か月ぶりで下落に転じた。
このカレーライス物価を基に、令和2年(2020)平均を100とした帝国データバンク独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、8月は「159.2」。こちらも前月比▲0.7%、前年同月比+25.4%で、前年同月比プラス記録を27か月連続に伸ばしたものの、伸び率は3か月連続で縮小している。
総務省の小売物価統計は、毎月1回、全国都市別の公表が基本だが、その約1週間前に、東京都区部のみ先行して公表される。8月の小売物価統計(東京都区部のみ)はすでに公表されている(既報)ことから、帝国データバンクは9月の「カレーライス物価」を予想している。それによると「1食431円前後と、4か月連続で低下する可能性がある」とした。「主な上昇要因となる米価格が、銘柄米でも価格が安定しつつあることを背景に、緩やかな低下傾向が続く見通し」「ニンジンやタマネギなどの野菜類では、高温や少雨による生育不良を背景に横ばい~高値での推移が見込まれ、大幅な値下がりは期待できない状況が続く」としている。
さらに先の予測では、「今秋まで430円台前後での推移が予想される。近年例を見ない価格上昇圧力を反映し、例年に比べて記録的な高値圏での推移が続いたものの、急激な値上がり局面はいったんピークを越えたとみられる」。ただし、「早場米を中心に高値取引が続く令和7年産米の動向、高温による各種野菜の収量低下と出荷量の調整による価格の上昇など不安定要素もあり、再び急激な値上がり局面を迎える可能性がある」との不安材料も。