政府米放出のアナウンス効果が、引き続きスポット価格の上げ幅を鈍らせている。
米穀のスポット取引業者㈱クリスタルライス(東京都中央区)は3月5日、令和6年産米の3月下期(16~末日)主要4銘柄の取引価格を公表した。それによると、いずれも過去最高値を更新したものの、上げ幅がさらに鈍っている。ただ公表銘柄数が相変わらず少ないことからして、取引数量が増えたわけではなさそう。CRの公表銘柄数は、取引数量の多寡に応じて変動する。したがって様子見が続いているといったところか。政府米売渡入札の価格水準が聞こえてくるまで、この様子見状態は続くものとみられる。

2月上期のクリスタルライス取引価格 (関東着値、1等、包装代込み、税抜き) | ||
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岩手ひとめぼれ | 48,521円 | 1月下期比+472円 |
宮城ひとめぼれ | 48,174円 | 1月下期比+165円 |
秋田あきたこまち | 48,495円 | 1月下期比+865円 |
関東銘柄米 | 46,780円 | 2月下期比+1,539円 |
我が国玄米流通の大宗を占める集荷業者-卸売業者間の「相対取引」を補完するのが、スポット取引。相対に比べればスポット取引の規模は遙かに少ないため、その取引価格はどうしても上振れる傾向にある。また米穀卸の全国団体、全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)の子会社である㈱クリスタルライスは、あまたあるスポット取引業者のなかでも唯一、取引価格を「公表」する存在のため、「意図的に価格を吊り上げている」といった邪推を受けやすい存在でもある。
上記の価格は、同社の取引で成約した価格を加重平均したもの。なお「関東銘柄米」の内訳は、あさひの夢、とちぎの星、彩のきずな、ふさおとめ、ふさこがねなど。