全米工(全国米穀工業協同組合、東京都千代田区)が9月17日、都内で開いた東日本・情報交換会で、「令和8年産米は、8月下旬から9月にかけての長雨の影響で、刈り遅れが頻発している」「登熟不足、倒伏、水分過多といった品質の低下が心配」との見方が大勢を占めた。ただし、これらは東北、関東、北陸を中心とした東日本に限っての話で、東海・中部以西、西へいくほど影響が小さい傾向にあり、九州に至っては晩生品種が主体ということもあって、逆に取水制限を不安視する声があがっている。
全米工は、加工原料を中心とした米穀販売業者の全国団体で、月に1~2回、同業者同士で玉を融通しあう席上取引会、その前に「情報交換会」を開催している。同じ米穀販売業者(卸売業者)の全国団体である全米販(全国米穀販売事業共済協同組合、東京都中央区)に比べて、比較的小規模な業者が多く、集荷業や生産業と兼業、あるいは近しい業者が多い。
全米工東日本情報交換会
山形 作柄は昔の作況指数で言うと「102」の「やや良」くらいになるのではないかとされていたが、長雨の影響で(刈取が)10日ほど遅れている。うちも集荷できていない。登熟不足もあるが、倒れて水に浸かってしまっているので、量はともかく品質の低下は避けられないのではないか。
いま山形は(本来)もち米が収穫最盛期なのだが、9月の第1週に刈り終わらなければいけないところ、まだ圃場に残っている状況。明日(9月18日)農産物検査になろうかと思うが、恐らく2等すら下回るのではないか。刈り遅れと胴割が多すぎるので心配。また、これも長雨の影響なのだが、乾燥がうまくいかず、もち全体に水分が高め。燃料の高騰もあって、14.5%以下は難しい。いわゆる「めくらもち」(高水分によって胚乳の透明度が上がり、うるちと区別がつきにくくなったもち米)が増えそう。
「はえぬき」単協概算金17,000円を受けて、各単協の生産者概算金は12,000~15,500円の水準。ただし、これらは(事前)出荷契約のみで、未契約分は「買取」10,000円。当社でも「民間は安いので農協さんに出荷して下さい」とお願いしたが、「いくらでもいいから買ってくれ」と連絡が入っている。買っても地獄、買わなくても困る状況。売れないなかで、単価とは無関係に在庫を抱えるリスクが大きい。
特定米穀の単価は新潟と横並びの㎏55円に決まった。その特定米穀は、長雨の影響で大量発生しそうな予感。品質は決して良くない。
宮城 同じく長雨で刈り遅れている。10日ほどか。特に「ひとめぼれ」は倒れている。特定米穀が大量発生しそうなのと、発芽、胴割が心配。
「ひとめぼれ」生産者概算金は16,000円前後だが、出荷契約外米は12,000円前後。民間集荷業者は13,000~14,000円水準で集めようとしているが、仮にそれで集めたとして、果たして「ひとめぼれ」は売れてくれるのか。悩んでしまって集荷に悩んでいる状況。
茨城A 毎日、雨。今月に入ってから2~3日しか晴れていないのではないか。以前は(10a)10俵とれた農家が沢山いたが、この10日ほど刈り取りできず、今や不作っぽいムードに陥りつつある。本来いまの時期は稲刈り終盤戦なのだが、今年は半分も刈れていない。
隣の栃木でも、「コシヒカリ」らしきものはベッタリ(倒れている)。真っ青で突っ立っている(登熟不足で稲体が青く、稲穂が重くないため垂れない)のが「にじのきらめき」といった感じ。
特定米穀の発生は、関東の場合、早生では少なかった。今後は増えそうだが、こればかりは終わってみないと分からない。
茨城B 同じく雨で刈り遅れ。晴れ間を狙って早刈りした分が、わずかながらスポット市場で動いているに過ぎない。特定米穀は、発生量どうこうよりも、競争相手が例年に比べ少ないのは確かなので、県内業者にあまねく行き渡るのではないか。昨年、外国産米に市場を奪われていた特定米穀なので、発生量が増える分には悪いことではない。
新潟A 新潟も、刈ってはいるが刈りきれていない。早生の特定米穀は水分が高め。
新潟B 同じく刈り取り進まず、上も下も(篩上も篩下も)入荷が少ない。早生の特定米穀は、青みが強い。水分は、驚くほど高いわけではない。ただ入荷した早生の丸米は、2等ベース。農協さんの話によると、倒伏が増えてきつつある。特定米穀の発生は多いだろうが、丸米の品質は心配。令和7年産米の在庫があるなかで令和8年産米が出始まってしまったわけだが、今年は妙に静か。誰も騒いでいない。
新潟C 早生の「つきあかり」。特定米穀が例年の3倍、4倍と出た。「コシヒカリ」(の刈り取り)が始まったが、中規模・小規模の農家は早々に終えて、(作期が)〝次〟の「新之助」に移っているのだが、大規模農家は「これから」コシヒカリ。したがって長雨で刈り遅れ。特定米穀の発生は多いだろうが、何しろ〝本体〟の刈り取りが進んでいない。大規模農家のなかには、「コシヒカリ」を諦めて、早々に「新之助」の刈取に入っている人も。「新之助」は1等でないと銘柄認定してくれないので。中生も晩生もぐちゃぐちゃで分からない。
石川 二重価格になっていないので、農協に集まらざるを得ない。すると顧客からは、「民間(集荷業者)には米がないかも」と問合せが入る。ひょっとすると、問合せは1件だけで、沢山の業者に問い合わせるものだから、あたかも大量注文のように見えて、これが相場を押し上げてしまうのではないか。
特定米穀は、ギリギリ1等にはなっていて(まだ発生量は少ない)。だが、この先は2等が増えていきだすのではないか。早生の特定米穀は品質良好だった。
岐阜 メイン品種は、岐阜だと「ハツシモ」、愛知だと「あいちのかおり」。どちらも晩生なので、刈取開始は9月の終わり頃から10月あたまにかけて。まだ天候の影響は受けていない。ただ早生品種は、雨の影響で胴割が多く、特定米穀の発生も多い。ただ中部だと、早生のボリュームはそう多くないので、昨年とさほど変わらないと思う。
生産者概算金が、メイン品種で16,800円、「コシヒカリ」で15,000円台といったところ。民間の買値(集荷価格)は12,000~13,000円、高くても14,000円。農協が「集めない」と言っている出荷契約外米が民間に流れてはくるが、その買取価格がどんどん下がっている。
島根 県内外から民間(集荷業者)の買取が弱い。訪ねると歓迎されるほど。だが農協の概算金を下回っては買えない。作柄は、恐らく平年並み。特定米穀の発生も、こんなものなのではないか。
福岡 九州は、ようやく(刈取が)始まったところ。先週、福岡「夢つくし」の初検査があったが、1等が出たので品質は悪くない。九州は、むしろ取水制限を心配しているほど。日照時間はたっぷりあったのと、夏は暑かったが、雨が少なく、夜温が下がっていないわけではないが、蒸し暑くはなかった。比較的品質は良いのではないか。
価格は、九州全域に言えることだが、概算金水準が農協ごとバラバラ。13,000円台から18,000円台までバラバラ。皆さん、それぞれ思惑があるようだ。
熊本 早生の刈取が終わったところ。これから晩生の「にじのきらめき」。「キヌヒカリ」から高温耐性品種「にじのきらめき」に転換したはずが、カメ(ムシ)にやられ、規格外どころではない品質低下が著しい。
